
世界中から飲食業界のオピニオンリーダーたちが集まる「Bar Convent Brooklyn(BCB Brooklyn)」が、2025年6月9日、10日の2日間にわたり、ニューヨーク市ブルックリンのインダストリーシティーで行われました。2018年の初開催以来、今年で7回目⋆1となり、出展者数、来場者数ともに年々増加。2025年の出展者数は過去最高だった昨年を上回り、275以上(公式発表)のブランドが参加しました。世界中の多彩なスピリッツが出品される同展は、まさに業界のトレンドの最前線と言えます。その中で、日本を代表するスピリッツ「Shochu(焼酎)」はどこまで浸透したのでしょうか。
⋆1開催回数について。2020年はコロナ禍でオンライン開催のため回数にカウントされていません。
文:菅礼子 / 写真:Nao Fukui / 構成:Contentsbrain
インフレの逆風もどこ吹く風。出展者数の増加で活気づくスピリッツ業界
2007年にドイツ・ベルリンでスタートしたBar Convent Berlin(BCB)を母体として2018年に始まったのがBar Convent Brooklyn(BCB Brooklyn)です。2025年で7回目となり、飲食業界関係者の中でもその存在感は確実に増してきています。今年は来場者数、出展者数ともに昨年を上回り過去最高を記録。会場には世界中から来場した有名バーテンダーやレストラン&バーオーナーなど、飲食業界の中枢を担う人々の姿が見られました。
BCB Brooklynは世界中から集まったスピリッツを堪能できる場として、あるいはスピリッツ業界の最新トレンドを読み解く宝庫として注目され、業界関係者同士の情報交換やコミュニティー形成の場としても重要な役割を果たしています。
今年はより一層イノベーションに注力し、60を超える新興ブランドを集めた「Emerging Brands Pavilion」を新設し、注目を集めました。新興ブランドをはじめ、会場は世界各国のスピリッツで溢れ、さらに国際色豊かになった印象です。

Bar Convent Brooklyn(BCB Brooklyn)2025の会場(ブルックリンのインダストリーシティー)
また、世相を反映して年々増加傾向にあるのが低アルコールやノンアルコールのカテゴリーブースです。会場内でも同カテゴリーのブースを目にする機会は明らかに増えたほか、BCB Brooklynの今年の大きなテーマの1つとしても扱われていました。会場内の各種セミナーなどでも「ノンアルコールカクテルの科学とサービス」、「成功するノンアルブランドの構築法」などといったトピックスが取り上げられるなど、飲食業界の新たなトレンドとして徐々に認知度を上げてきていることがうかがえました。
BCB Brooklynが主催する会場ステージでのセッションも多岐にわたりました。2024年に引き続き、飲食業界で働く人たちのメンタルヘルスやウェルビーイング(幸福度)など、労働環境の改善にも焦点があてられました。今年は注目される新興の飲料ブランドを審査して受賞ブランドを応援する「Brand Accelerator Pitch Competition(ブランド アクセラレーター ピッチ コンペティション)」も新たに開催。こうした新規参入ブランドのサポートにも力を入れるなど、展示会として多角的なアプローチでスピリッツ業界の発展に寄与しています。
とりわけ、本格焼酎の存在感が増してきていることも肌で感じられました。iichiko USAのブースをはじめ、日本酒造組合中央会(JSS)が設けたブースにも多くの人が来訪。目につきやすい会場セクション中央の好立地にブースが設けられたこともあって、来場者に本格焼酎の存在感をアピールする絶好の機会となりました。
焼酎と言えば「iichiko」。
7回目の出展で賑わうブース

手前の青いラベルが「iichiko彩天」、奥の赤いラベルが「iichiko心和」
iichiko USAはBCB Brooklynに初回から「iichikoブース」を出展。今年で7回目を数え、本格焼酎の認知度向上に貢献してきました。「BAR GOTO / BAR GOTO Niban」のオーナーバーテンダーの後藤健太さんにも毎回ブースに立っていただき、今回も本格麦焼酎「iichiko彩天(さいてん)」などを使ったカクテルを提供。後藤さんをはじめ、世界のトップバーテンダーが供する本格焼酎を使ったカクテルを目当てに「iichikoブース」訪問者も年々増えています。
「日本生まれ、日本育ちでアメリカに来て、バーテンダーとして活動して20年以上経ちました。この仕事を通じて、麹由来の風味も感じられる本格焼酎をはじめ日本の飲料の素材であったり、独特の味わいを自分の店で積極的に紹介していくことは、『BAR GOTO』や『BAR GOTO Niban』のもともとのコンセプトではあるのですが、同時に使命でもあると感じています」と後藤さん。

ゲストバーテンダーとして腕をふるう「BAR GOTO / BAR GOTO Niban」の後藤健太さん
「iichiko彩天」、「いいちこシルエット」と並び、今回のBCB Brooklyn出品の目玉でもある新商品「iichiko心和(しんわ)」もお披露目され、大きな話題となりました。麹由来のうま味を生かした高アルコール度数(43度)の本格焼酎として「iichiko彩天」に続き、米国市場に初登場した「iichiko心和」は、「iichiko彩天」とは全く異なる個性を持ち、カクテルに新たな表現の幅をもたらします。
赤いラベルが目印の「iichiko心和」は、減圧蒸留によって引き出された、青りんごやパイナップルを思わせる華やかな香りと、熟した果実の奥深いアロマが特徴。口当たりはトロリとなめらかで、どっしりとした麹由来の風味の厚みが広がります。口に含んだ時のほのかな甘みとその長い余韻、喉越しのキレが調和した、飲みごたえのある酒質は、バーテンダーたちのクリエーティビティーを刺激するとともに、幅広い層に本格焼酎の魅力を伝えます。この「心和」という名前の由来は、日本の和食文化の核心である麹の素晴らしさを、和(日本)の心、「心和」という言葉に込めたものです。
かたや、米国のトップバーテンダーに愛用されている「iichiko彩天」は、常圧蒸留により麹由来のうま味を引き出し、大麦麹の力強い味わいの個性が感じられるスピリッツとして知られています。その「iichiko彩天」は、アメリカのバーテンダーたちの自由でクリエーティブな発想により、さまざまなカクテルとして全米で提供されています。

「KOJI MARTINI」はオリーブではなく、日本の「らっきょう」⋆2を添えて
⋆2 らっきょう:日本で古来から好まれてきた球根野菜。シャキッとした食感と独特の香りが楽しめる甘酢漬けが定番。
そして、「いいちこシルエット」もまたその個性で根強いファンをつかんでいます。穏やかで、上品な香りがほんのり感じられ、爽やかな果実系や控えめな花系統が香ったあと、口中には甘さや心地よさが残ります。アルコール度数は日本の本格焼酎として一般的な25度。日本では発売後40年を迎える人気アイテム(ブランド)で本格麦焼酎のベストセラー商品です。BCB Brooklyn 2025のトレンドとして取り上げられた低アルコールのドリンク需要の高まりにも対応して、まろやかで飲み飽きしないその味わいは、低アルコールカクテルのベースとしても生かされることでしょう。
「iichiko彩天」、「iichiko心和」、そして「いいちこシルエット」は、同じ本格麦焼酎でも、ストレートでそのものの味わいを楽しめるのはもちろん、カクテルなどの使い方や飲み方を変えることでさまざまな楽しみ方ができるという本格焼酎の引き出しの多さをアピールしました。
「『iichiko心和』は究極のクリアスピリッツですね。『iichiko彩天』も同じ43度の本格麦焼酎ですが、この2つは180度違ったキャラクター。いい意味でクセのある『iichiko彩天』に比べて、『iichiko心和』は麹の風味が効いた透き通った味わいを感じます。コクやうま味がありながら、クリアな味わいが魅力です」と後藤さん。ストレートで飲むのはもちろん、オン・ザ・ロック、あるいは水割りにすると、さらにまろやかな味になると言います。
今回iichikoブースで後藤さんは、「クリアながら麹の風味が効いた『iichiko心和』と相性がいい」というマティーニを、オリジナルカクテルの「KOJI MARTINI」として提供されました。後藤さんが作る「iichiko心和」と「iichiko彩天」を使った2種類のカクテルは、それぞれの個性を最大限に生かしたカクテルとして来場者から大好評。「『iichiko心和』はまろやかでとても飲みやすい。キャラクターが前に出過ぎないので、カクテルに自然となじんでいる」といったお客様の声も聞かれました。

2025年6月に米国で新発売された「iichiko心和」にも注目が集まった

7回目のブース出展で本格焼酎の認知度はどのように変化しているのか、三和酒類の担当者は次のように語ります。
「全体的にブースの数も例年以上でBCB自体が盛り上がっているなという印象です。既にブランド認知度も向上していて、本格麦焼酎『iichiko』を知っているからブースに来た、という方も増えています。後藤健太さんのカクテルを楽しみに来てくれた方もたくさんいらっしゃいます」(三和酒類 営業本部 部長 岩見明彦)
「私たちだけでなく、さまざまな焼酎メーカーも出展をすることで、本格焼酎というキーワードは来場者の頭の中に確実に記憶されたと思います。あとは、ブランドそれぞれの強みを発信し、個性の違いをどう感じてもらうかではないでしょうか。本格焼酎が、アメリカの飲料市場でカクテルのベースとして広がってきている手応えを非常に強く感じています。メインストリームに入っていく可能性も十分あると思います」(同)
有名バーテンダーによる焼酎カクテルに長蛇の列
BCB Brooklynには世界中からトップバーテンダーがニューヨークに集結することでも知られています。今年もiichiko USAの主催で、同展期間中に「Katana Kitten(カタナ キトゥン)」と「Martiny’s(マルティニーズ)」にゲストバーテンダーを招聘(しょうへい)してポップアップイベントを開催しました。
ポップアップイベントの開催は、トップバーテンダーの手によって作られた焼酎カクテルを一般の方々に向けて紹介する絶好の機会です。また、期間中はさまざまなバーでイベントが行われるため、街全体が活気づき、お祭りのような雰囲気に包まれます。

「Bar BenFiddich」オーナーバーテンダーの鹿山博康さん
6月10日には「Martiny’s」で「Bar BenFiddich(バー ベンフィディック)」(東京・新宿)の鹿山博康(かやま ひろやす)さんがゲストバーテンダーとして「iichiko彩天」や「いいちこシルエット」を使った5種類の焼酎カクテルを提供しました。ポップアップバー開店前から長蛇の列ができるなど、その人気ぶりがうかがえました。
同日にはNYの人気店「Katana Kitten」でもポップアップイベントが行われました。タイムスロット毎に登場した錚々(そうそう)たるバーテンダーの顔ぶれは次のとおりです。
日本からは「Quarter Room(クオーター ルーム)」(東京・世田谷)の野村空人(のむら そらん)さん。英国からは「Seed Library」(ロンドン)のGreg Howitt(グレッグ ハウィット)さんとAdrian Ford-Begg(エイドリアン フォードベッグ)さん。さらに「NoMad Bar」「Side Hustle」(ロンドン)などのレジェンドバーテンダー、Leo Robitschek(レオ ロビチェック)さんとLeoさんの下で活躍するAndrés Villagomez(アンドレス ヴィラゴメス)さん。「iichiko彩天」や「iichiko心和」などの「WA-SPIRITS(和スピリッツ)」を使った個性溢れるカクテルを提供し、会場は満員御礼になりました。
「カクテルとアートの融合がコンセプトでした。特にアメリカ向けにターゲットを変えてカクテルを作ったわけではなく、自分らしいカクテルで挑戦しました。色を表現した3種のカクテルは本格麦焼酎の味わいを生かすように工夫しました。日本人は麹の魅力を元々知っていますが、海外のバーテンダーは全く新しい解釈で、麹由来のスピリッツでもっと面白いカクテルを作るかもしれませんね」と野村さん。
ロンドンから来た「Seed Library(シード ライブラリー)」や「Side Hustle(サイド ハッスル)」のバーテンダーたちからは、本格焼酎について「このキャラクターは“funky”で“earthy”な香りを感じる」、「風味、そして独特のニュアンスがある」など、カクテルに使ううえで十分な存在感があることを言葉にしてくれました。
麹菌を使った日本の「伝統的酒造り」の技術を用い、麹由来の風味を楽しんでいただける本格焼酎は、さらに進化を遂げ、日本から世界に向けて「WA-SPIRITS」として新たなステージに歩み出しました。「iichiko彩天」、「いいちこシルエット」、そして新商品「iichiko心和」という「WA-SPIRITS」を使い、世界トップクラスのバーテンダーのみなさんが腕をふるって作る美味しいカクテルを、多くの来場者に味わっていただく。BCB Blooklynはそんな「WA-SPIRITS」の魅力を発信する幸せな場となりました。

「Quarter Room」オーナーバーテンダーの野村空人さん
(画像の「iichiko彩天」のボトルは旧デザインのもの。現行商品とはラベルや形状が異なります)

「Seed Library」のGreg Howittさん(左)とAdrian Ford-Beggさん

「Side Hustle」のLeo Robitschekさん(右)とAndrés Villagomezさん
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「Quarter Room」野村さんによる 「iichiko彩天」を使ったカクテル「Brown」

「Seed Library」が提供したカクテルは「いいちこシルエット」を使った「Dinner Daisy」
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「Side Hustle」提供のカクテル「28 MARTINI」は「iichiko彩天」を使用

「Side Hustle」提供のもう1品「SOBA COCONUT NEGRONI」は「いいちこシルエット」を使用

「Bar BenFiddich」鹿山さんの作った 「Green Cucumber Farm」は「いいちこシルエット」使用

「Bar BenFiddich」鹿山さんの「iichiko彩天」を使った「Saiten Mochi Ball」

「Bar BenFiddich」鹿山さんの 「iichiko彩天」を使った「Saiten Bitter Hojicha」

「Bar BenFiddich」鹿山さんの「iichiko彩天」を使った「Saiten Banana Earlgray Old Fashioned」