世界のスピリッツメーカーやインポーター、バーテンダーなど飲料業界の人々が一堂に会する「BCB(Bar Convent Brooklyn) 2024」が6月11日・12日の2日間、ブルックリンのインダストリーシティーで行われました。同展は毎年酒類・飲料業界のキーオピニオンリーダーたちが集まり、新たなトレンドを感じ取ることができるイベントです。また、展示会期間中はニューヨークのさまざまなバーで有名バーテンダーを招いたイベントも行われ、街全体でコミュニティーを盛り上げようとしています。コロナ禍を乗り越え活況を取り戻したBCB 2024をレポートします。
(画像のボトルは旧デザインのものです。現行商品とはラベルや形状が異なります)
⇒後編「米国市場で年々存在感を増す「Japanese Shochu」
文:菅礼子 / 写真:三井公一 / 構成:Contentsbrain
2024年は史上最多の来場者数を記録、活況を呈する
飲料業界最大級のイベント「BCB (Bar Convent Brooklyn)」は2018年にスタートし、2024年で6回目を迎えました。史上最高の来場者数を記録し、前年比18%増の5,300人の酒類・飲料業界関係者が参集しました。展示会には米国内だけでなく海外48カ国から230のさまざまなブランドが出展し、次なるトレンドを感じさせる酒類やカクテルが振る舞われたほか、会場内のステージでは教育セッションも行われ、今後のホスピタリティー業界の向上に向けて議論が飛び交いました。

ブルックリンのインダストリーシティーで開催されたBCB 2024。6回目で史上最多の来場者数5000人を突破した
BCBは将来的な飲料業界のトレンドを読み取る場としても重要なイベントです。メキシコのメスカルやテキーラが台頭していることや、日本の本格焼酎がカクテルに使用されていることもトピックスとして挙げられます。
各ブランドの焼酎ブースではニューヨークで活躍する日本人バーテンダーが招かれ、焼酎カクテルを提供するなど、焼酎の認知度向上や新たな可能性をアピール。今回初めて泡盛も特設コーナーが設けられ、多くの泡盛ブランドが集結するなど、日本のスピリッツも存在感を見せていました。

メイン会場に出展したiichiko USAのブースではゲストバーテンダーが「いいちこ」を使ったカクテルをふるまった

iichiko USAのブース内でゲストシフトとして腕をふるう「Bar Goto」「Bar Goto Niban」オーナーバーテンダー、後藤健太さん
このほか、顕著なトレンドとしては、昨今の健康志向から若年層を中心にアルコール離れが進んでいることから、ローアルコールのドリンクやノンアルコールのカクテルが提供されるなど、さまざまなアルコールの楽しみ方や商品の選択肢が提案されました。
アルコール以外で興味深かったトピックスとしては、ホスピタリティー業界において心の健康を維持するためのメンタルヘルスにフォーカスをしたセッションが行われていたことでした。目まぐるしく変化するホスピタリティー業界で問題となる、心無い顧客からのハラスメントなどから心の健康をどう守ればいいのか、あるいは働く人たちの労働環境をどう守るべきかといった実践的なノウハウなどについても議論されました。
カリスマ的なバーテンダーたちが活躍し、アイコニックなカクテルを作るという華やかな業界ですが、ホスピタリティーの高いサービスを提供していくために労働環境や心のケアは必須と言えます。
展示会期間中は多くの飲料業界関係者がニューヨークに集まったため、会場となったインダストリーシティーの外でも様々なコミュニケーションを目的としたイベントなどが行われました。
「Bar Goto Niban」(474 Bergen St, Brooklyn, NY 11217, USA)や「Katana Kitten」(531 Hudson St, New York, NY 10014, USA)でもiichikoを使ったB to C向けのカクテルイベントが開かれ、ゲストバーテンダーを招いて特別なカクテルが振る舞われました。
もともとBCBはB to B向けでスタートしましたが、これに加えて、B to Cにリーチしたイベントを開催することでより多くの飲料ファンも増やしていこうという両面へのアプローチが功を奏して、ニューヨークの街は活気に溢れました。
⇒後編「米国市場で年々存在感を増す「Japanese Shochu」