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「iichiko彩天」カクテルで競う技。NYで初開催 「iichiko IRODORI Cocktail Competition」

作成者: WA-SPIRITS|2025/06/16 16:28:45

本格焼酎というとアルコール度数20~25度が主流。かたや、「iichiko彩天」は43度というアルコール度数の高い本格焼酎として2019年に米国市場でデビュー。水割りやロック、お湯割りといった日本国内での本格焼酎の飲み方の一般的な概念を覆して、カクテルベースとして開発された本格焼酎の先駆けとして米国市場を賑わせてきました。本格焼酎の新たな楽しみ方を提案する「iichiko彩天」は、バーテンダーのクリエーティブなアイデアを掻き立てて、焼酎ミクソロジーカクテルとして米国でも徐々に受け入れられてきました。本記事では、2025316日にニューヨーク市内で三和酒類が主催した「iichiko彩天」を使うカクテルコンペティション「iichiko IRODORI Cocktail Competition」をレポートします。

文:菅礼子 / 構成:Contentsbrain

 

「iichiko IRODORI Cocktail Competition」について




「iichiko IRODORI Cocktail Competition」ファイナリストのみなさん(会場:「Bar Goto Niban」)。右から4人目はiichiko USA,Inc. プレジデントの赤松元明(あかまつ げんめい)

iichiko IRODORI Cocktail Competition」は三和酒類が主催するカクテルコンペティション。20241111日に香港大会、1112日にシンガポール大会が開催され、2025年3月16日にニューヨーク・ブルックリンの「Bar Goto Niban」を会場として最終戦が行われました。

応募総数71名のバーテンダーの中から書類審査、ビデオ審査が行われ、ファイナリスト9名が「iichiko彩天」を使ったオリジナリティー豊かなカクテルを披露。優勝者には賞金$1,500に加えて、三和酒類の蒸留所(大分県)へのご招待、2位には賞金$8003位には賞金$400がそれぞれ授与されました。

<ルール>

  •  全てのカクテルには最低1オンス(30ml)の「iichiko彩天」を使用すること 
  • カクテルに 使用できる材料は最大6種類まで

  •  全てのガーニッシュ(飾り)は食用であること 
  • 廃棄物を抑えた工夫をすること(サステナビリティー)

 

●アメリカ・ファイナリスト一覧

  • Kith Fox (Alter Ego) / SanJose, CA
  • Harry Wright (Service Bar) / Washington DC 【2位】
  • Marie Yoshimizu (Intercontinental Hotel Bellevue) / Bellevue
  • Alec Hunter (Paper Plane) / SanJose, CA 【3位】
  • Koharu Usui (Bar Goto Niban) / New York City, NY 【1位】
  • Elis Carriero (Vice Versa) / Miami, FL
  • Chelsea Van Billiard (Pacific Cocktail Haven) / San Francisco, CA 【3位】
  • Jeanette Perez (The Roosevelt Room) / Austin, TX
  • Jens Cromer (Thunderbolt) / Los Angeles, CA


麹と発酵文化の普及、次世代バーテンダーの機会提供

米国での「iichiko IRODORI Cocktail Competition」最終戦に望むため、全米からファイナリストたちがニューヨークに集結しました。コンペティション前日の315日には「Angel’s Share」と「Katana Kitten」の両バーにファイナリストたちが招かれて、「iichiko彩天」や「いいちこシルエット」を使ったカクテルがファイナリストたちに振る舞われ、舌鼓を打ちました。

ニューヨークでトップの人気を集める両バーだけに、異なる特徴を持つ「iichiko彩天」と「いいちこシルエット」の長所を引き出したカクテルは、ミクソロジーカクテルと呼ぶに相応しく、その手の込んだ様はまるで料理のように複雑なもの。翌日の本番を控えて、ファイナリストたちは程よい緊張感を感じながらもリラックスした様子で本格焼酎カクテルを楽しみました。

大会本番前日は参加者が集い交流会を開催した(会場:「Katana Kitten」)

国土面積が広く、さまざまな人種や文化的背景を持つ人々で成り立つ米国各地で本格焼酎はどのように受け入れられているのでしょうか。参加バーテンダーに聞いてみましょう。

「ロサンゼルスは都会だし、本格焼酎もそうだけど、新しいものを試してみようというオープンマインドな人たちがたくさんいます。日本の本格焼酎と韓国のソジュとの違いは説明しないといけませんが、興味を持って質問してくれる人も多い」(ロサンゼルス「Thunderbolt」から参加したJens Cromerさん)

「テキサスではウイスキー人気が根強いのですが、説明することで本格焼酎という新しいスピリッツに挑戦してくれるお客さんは多いです。私はメキシコ人で、個人的には本格焼酎にメスカルとの共通点を感じます。本格焼酎はカクテルの味わいを引き立て豊かにしてくれます」(テキサス「The Roosevelt Room」から参加したJeanette Perezさん)

米国市場ではまだまだスタンダードカクテルを好む客層も多いが、都市部となると、今まで飲んだことのないスピリッツに対してもオープンなようです。本格焼酎に対して興味や関心を持ってくれる顧客層が一定数いることは確かなようです。

多民族国家を反映する多様な背景を活かしたカクテル

3月16日はいよいよ「iichiko IRODORI Cocktail Competition」本番の日です。全米から選び抜かれた9名のバーテンダーが会場に集まりました。

審査員は「Bar Goto」と「Bar Goto Niban」のオーナーバーテンダーの後藤健太さん、「Martiny’s」オーナーバーテンダーの渡邉琢磨さん、コンサルタントのJacques Bezuidenhoutさん、「Beautiful Booze」編集長のNatalie Migliariniさん。会場のバーカウンターから出場者のカクテルメイキングの所作を見つめます。

大会規定の下、ファイナリストたちはプレゼンテーションを交えながら時間内に「iichiko彩天」を使用したカクテルを作り披露しました。

米国を活動拠点とするファイナリストの多くは、本格焼酎に対する先入観や固定概念がない人が多く、出来上がったカクテルは十人十色で個性的なものばかり。使用する素材やテクニックも実にクリエーティブなものでした。出身地も多彩な米国だけに、自分自身のルーツやアイデンティティー、経験を投影したカクテルも多く見受けられました。

審査員はオリジナリティー、クリエイティビティー、ストーリー性、審査員とのコミュニケーション力、「iichiko彩天」という商品に関する理解度、サステナビリティーを評価基準として、テイスティングをした後に、ファイナリストに対して質問をする形式で進められました。通常コンペティションは静寂と程よい緊張感の中で進行しますが、見せ場でもあるシェイカーを振るシーンでは毎回歓声が上がるなど、活気のあふれる雰囲気でコンペティションは行われました。

「iichiko彩天」のうまみを引き出す
素材使いやテクニックに軍配

個性あふれるカクテルがしのぎを削った本コンペティションでは、米国市場において本格焼酎がさらなる広がりを見せていくという手応えを感じさせてくれました。優勝は「Garden Ruby」を発表した「Bar Goto Niban」の臼井小春(うすい こはる)さん。「iichiko彩天」をつくる三和酒類のある大分県を訪れた時に食べたトマトからインスピレーションを得て、本コンペティションのIRODORI(彩り)をトマトとネグローニの赤で見事に表現。トマトが持つうま味と甘味が「iichiko彩天」のうまみを引き出したカクテルです。

「今回のカクテルでは『iichiko彩天』の常圧蒸留と減圧蒸留の両方の製法から出来上がっている特徴を活かしたいと思いました。大分を訪れた際に新鮮な美味しい朝採りトマトに出合いました。トマトのうま味を常圧蒸留の力強い側面で活かしつつ、減圧蒸留が持つフローラルな香りを、ホワイトポートを使って引き出しました。「iichiko彩天」をつくる際の鍵となる大麦麹に注目し、大麦麹由来の風味を強調するために、『塩麹』を数滴加えて、うまみを引き出すとともに、うま味と苦味のバランスを調整しました。

 

1位に輝いた臼井小春さんとカクテル「Garden Ruby」(画像のボトルは旧デザインのものです。現行商品とはラベルや形状が異なります。)

三和酒類は、元々4つの日本酒の蔵元が一つに合併して誕生して、調和を保ちながら成長してきた会社だと聞いています。それはまさにネグローニのように、複数の要素が一体となって、時代を超えたクラシックな味わいを作り上げる。そんな『いいちこ』らしさと重なると思います」

本格焼酎への造詣の深い小春さんは、毎週日曜に「Bar Goto Niban」で“焼酎サンデーというイベントを企画して実施中とのこと。

「少しでも多くの米国の愛飲家の方々に本格焼酎に親しんでもらいたい。今回のコンペティションに参加した理由も、本格焼酎をもっと多くの人に飲んでほしいと思ったから。色々な飲み方ができることが本格焼酎の一つの魅力だと思います」(臼井小春さん)

2位に選ばれたのはワシントンDCにある「Service Bar」のHarry Wrightさん。バナナとコーヒーを使った「Asameshi swizzle」は意外性のある素材の組み合わせが「iichiko彩天」のうまみとマッチして、高い評価を得ました。

2位は「Service Bar」のHarry Wrightさんとカクテル「Asameshi swizzle」

3位は同率で「Pacific Cocktail Haven」(サンフランシスコ)のChelsea Van Billiardさんと「Paper Plane」(サンノゼ)のAlec Hunterさんのカリフォルニア勢がランクインしました。

3位を分け合った「Pacific Cocktail Haven」のChelsea Van Billiardさん

同率3位に選ばれた「Paper Plane」のAlec Hunterさん

審査員の後藤健太さんは今回のコンペティションについて以下のようにコメントしました。

 

「これまで三和酒類さんは、『iichiko IRODORI Cocktail Competition』の前身となる本格焼酎を使ったコンペティションを数回開催してきて、その審査員も務めさせていただいてきました。これまでと比べて参加者の全体的なレベルは上がってきていると思います。

審査員を務めた後藤健太さん

また、以前は参加者のレベルの差も大きかった印象がありますが、今回は優勝者とそれ以外の差も縮まってきている。最終的に『iichiko彩天』の良さを活かしたカクテルが評価されたと思います。トマトやバナナなど、『iichiko彩天』のうまみを引き出す素材を使った人が勝ちましたね」

本格焼酎という麹でつくった
蒸留酒の魅力を新たな世界観で
伝えていきたい

チャンピオンの臼井小春さん(右)と赤松プレジデント

全米よりトップレベルのバーテンダーたちが参加し、腕をふるった「iichiko IRODORI Cocktail Competition」。同コンペティションを指揮した三和酒類株式会社 専務取締役/iichiko USA,Inc. プレジデントの赤松元明(あかまつ げんめい)が、米国市場での本格焼酎の展望について語ります。

――「iichiko IRODORI Cocktail Competition」にどんな感想を抱きましたか。

三和酒類はこれまでに、今回の「IRODORI」の前身となる本格焼酎のコンペティションを他の州で開催してきましたが、その時よりも数段レベルが上がっていて驚きました。新しいカクテルを追究するミクソロジーの奥深さを体感し、感激しています。米国のバーテンダーの方たちは自分の人生や経験してきたことをカクテルに落とし込んでいると感じました。

カクテルというものが色々な感性の結晶で作られているということを目の当たりにしましたね。また、米国のバーテンダーの方たちはプレゼンテーションも見事ですし、お酒の楽しさを伝えることが上手いと感じました。

同率3位のChelsea Van Billiardさん(右)、Alec Hunterさん(中央)と赤松プレジデント
――「iichiko IRODORI Cocktail Competition」開催の意義について教えてください。

米国のバーテンダーや愛飲家の方たちに、麹でつくった蒸留酒、本格焼酎の魅力を知っていただくことです。本格焼酎の認知度を高めて、麹の蒸留酒の楽しさというものをいろいろな形で提案していきたいと思っています。米国のミクソロジーのレベルはとても高いですし、今回のように全米トップレベルのバーテンダーの方たちに使ってもらえたことをうれしく思っています。

今後は日本でもこの「iichiko IRODORI Cocktail Competition」を開催していきたいです。革新的なカクテル、あるいはミクソロジーの世界観と商品が結びつき、商品を理解した上で使用していただけるとうれしいです。

 ――米国市場で本格焼酎がさらなる広がりを見せていくという手応えは感じられましたか。 

海外でお酒を売るにはその国の文化圏に入っていかないと販売は難しいのですが、まずは米国の一流のバーテンダーの方たちに使っていただけるということで一定の手応えは感じられました。地道にしっかりと関係構築をしていきたいと思っています。