「iichiko」はBCB 2024でも前年に引き続きブースを出展。「Bar Goto」のオーナー、Kenta Goto氏をゲストバーテンダーに招き、「iichiko」のスペシャルカクテルを来場者に提供しました。日本の國酒⋆1として親しまれている焼酎は世界でどう受け入れられているのか。キーパーソンに話を聞きました。
⋆1 國酒:国を代表する酒のこと。2009年6月に日本酒造組合中央会の通常総会において、(日本における)國酒とは日本酒、本格焼酎、泡盛を指すことを機関決定した。
⇒前編「ネクストトレンドを紐解くBCB 2024。業界のオピニオンリーダーがNYに集結」
文:菅礼子 / 写真:三井公一 / 構成:Contentsbrain
日本国外でも存在感を強めてきた焼酎ですが、中でも市場を牽引しているのが三和酒類の本格麦焼酎「iichiko」です。ニューヨークをはじめ、米国の都市圏の人気バーテンダーたちからも支持されている「iichiko」を使った焼酎カクテルも注目を集めて、米国での認知度向上に一役買っています。
まずは端正で繊細なカクテルに定評のあるニューヨークの名店「Bar Goto」「Bar Goto Niban」の後藤健太さんが登場。BCBの三和酒類のブースでふるまった後、「Bar Goto Niban」に戻り、「iichiko」を使ったカクテルを提供。来訪者は舌鼓を打ちました。
後藤健太(ごとう けんた)
「Bar Goto」「Bar Goto Niban」オーナーバーテンダー
BCBは年々規模が大きくなっているなと感じます。この会場の中でもとりわけ「iichiko」の認知度は確実に高まっていて、「iichiko」ファンも多く、ブースの周りに人だかりができているほどです。今回は「いいちこシルエット」と「iichiko彩天」の両方を混ぜた“和風ブラッディマリー”ともいえる「UMAMI MARY」を提供しました。
BCBの会場内、iichiko USAのブースで後藤健太さんが提供した「iichiko」カクテルは2種類
「iichiko彩天」は、 savory ⋆2や earthy⋆3 といった風味なので、鰹節、昆布、乾燥椎茸といった出汁(だし)の味と良く合います。この出汁の味を「いいちこシルエット」に利かせて、「iichiko彩天」でバランスを取りました。私のバーでもこの「UMAMI MARY」はとても人気があります。
⋆2 savory:塩や胡椒などで味付けされた食べ物や料理。sweetの対義語としても使われる。
⋆3 earthy:土っぽい味や香り。ワインなどの風味の表現などで使われることが多い。
後藤健太(ごとう けんた)
「Bar Goto」「Bar Goto Niban」オーナーバーテンダー
ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)卒業後バーテンダーの道へ進む。2008年1月からニューヨークの人気バー「Pegu Club」(2020年閉店)に勤務し、2011年7月には世界最大規模のカクテルの祭典「Tales of The Cocktail 2011 Spirited Awards®」にて「American Bartender of the Year(バーテンダー最優秀賞)」を受賞。2015年7月、ニューヨークのローワー・イースト・サイド地区に「Bar Goto」を、2020年1月、ブルックリンに「Bar Goto Niban」をオープンして人気を博している。
・Bar Goto
住所:245 Eldridge St. New York, NY 10002, USA
・Bar Goto Niban
住所:474 Bergen St. Brooklyn, NY 11217, USA
BCBが業界関係者向けのイベントだとすれば、オフ会場とも言えるニューヨークの街中は一般消費者に向けた啓蒙の場でもあり、お酒を囲んでコミュニティーが生まれるのもBCBの開催意義と言えます。
ここでは「Katana Kitten」で行われた「iichikoナイト」にゲストバーテンダーとして招待された「BAR HIGH FIVE」の上野秀嗣さんと「TOKYO CONFIDENTIAL」のHolly Grahamさん、村田和香菜さんにお話を伺いました。
上野秀嗣(うえの ひでつぐ)
「BAR HIGH FIVE」オーナーバーテンダー/(一社)日本バーテンダー協会会長
焼酎は日本の一般的なバーだとまだカジュアルなイメージが強いため、かえって日本国外でカクテルとして使われるようになってきていますね。焼酎をカクテルのベースにしようとするとアルコール度数が25度程度と低いため、キックが弱くボリュームを出すのが難しい印象があります。
でも、「BAR HIGH FIVE」には世界中からお客様がいらっしゃるので、日本の麹を使ったスピリッツである「TUMUGI」を使ったカクテルも提供しており、好感をもって受け入れられています。焼酎が海外で受け入れられていることは喜ばしいです。「iichiko彩天」はユニークな味わいで、アルコール度数も40度と高く、何と混ぜても特徴が残るのでカクテルのベースとしても使いやすいと思います。
上野秀嗣(うえの ひでつぐ)
1968年、北海道札幌市生まれ。小学生から高校生まで野球、大学でアメリカンフットボールに熱中。大学時代に米国留学を経験。2000年12月、岸久氏の「スタア・バー・ギンザ」オープンに加わる。2008年7月、独立して「BAR HIGH FIVE」をオープン。各社主催のカクテル世界大会の審査、講演、デモンストレーションを担う。2023年11月、黄綬褒章受章。2024年7月、Tales of the Cocktail®2024のSpirited Awards® 「Helen David Lifetime Achievement Award」 受賞。
・BAR HIGH FIVE
住所:東京都中央区銀座5-4-15 エフローレギンザ5ビル B1F
Holly Graham(ホリー グラハム)
「TOKYO CONFIDENTIAL」オーナー
村田和香菜(むらた わかな)
同ヘッドバーテンダー
「TOKYO CONFIDENTIAL」のHolly Grahamさん(右)と村田和香菜さん
東京で展開している私たちのバー「TOKYO CONFIDENTIAL」では通常、12種類のカクテルを提供していますが、そのうち2〜3種類が焼酎カクテルで、日本ではなかなか飲めない「iichiko 彩天」のカクテルもメニューとして出しています。
焼酎の認知度も上がってきていますし、海外からのお客様は特に珍しいものを求めています。焼酎がどんな素材からできているかといった話をすると興味を持ってくれるので、麦、芋、米など素材の違う焼酎のカクテルを提供しています。焼酎は素材によって優しい味わいを出せたり、フレーバフルで繊細な特徴を持っていますし、ABVが低いですが、最近の比較的若い層でのアルコールの嗜好性を考慮すると、ABVが低いことにフォーカスするのもいいと思います。
Holly Graham(ホリー・グラハム)
ロンドン出身。タイ、ソウル、香港とアジアを渡り歩き、2020年にオープンした「TOKYO CONFIDENTIAL」 の創設者兼クリエイティブ ディレクター。「Cocktails of Asia」(Man Mo Media、2023年)の著者であり、Webマガジン「DRiNK Magazine」編集長も務める。世界のカクテルコンペティションの審査員など多彩に活躍。「本業はバーテンダー、そしてジャーナリストです」(Holly)。
村田和香菜(むらた わかな)
日本の大企業で勤務した後、バーテンダーになる夢をかなえようとシンガポールに移住。各種コンペティションに出場して評価を得ていき、2022年に東京エディション虎ノ門の「Gold Bar at EDITION」オープニングチームに参画。同バーはオープンして1年後に「Asia's 50 Best Bars 2023」で56位に輝いた。その後、「TOKYO CONFIDENTIAL」のヘッドバーテンダーに就任。日本の泡盛やどぶろくなどの個性的なお酒が好き。
・TOKYO CONFIDENTIAL
住所:東京都港区麻布十番1-6-1 THE V-CITY 麻布十番 PLACE 9F
iichikoメーカーから 焼酎を深く知っているバーテンダーが確実に増えてきました
岡研介(おか けんすけ)
iichiko USA., Inc. セールスマネージャー
「Katana Kitten」の前で。最前列左側が岡研介(iichiko USAセールスマネージャー)
BCBには2024年で2回目の参加でした。ブースで接客していると、前年よりも多くの来場者に声をかけてもらえるようになったことからも「iichiko」の認知度が上がってきているなと感じています。BCBは業界関係者が参加するイベントなので、「SHOCHU」という日本の伝統的な蒸留酒について深く理解しているバーテンダーの方が確実に増えてきていると実感しています。
「iichiko」を知っていただき、飲んでいただくことで、カクテル素材として継続して使っていただきたいです。私たちはトップバーやトップバーテンダーさんたちとの関係をより強く築いていくことで、カクテルを通して「iichiko」の魅力を、ニューヨークをはじめ、米国のお客様にお伝えしていきたいと願っています。